SSS

愛知県春日井市牛山町にあるサンドイッチ専門店のインテリアデザイン。このプロジェクトはサンドイッチショップスズキとして40年以上もの間続いてきた商売を、ここから先も長く続けて行くための分岐点に立ち会うものとしてスタートした。まずは今までの歴史、客層、商品価格を踏まえた上で、今後はどのような商品を、誰に、どのように売りたいのかを徹底的に話しあった。昨今のフルーツサンドブームで、沢山のサンドイッチ屋が世の中にオープンしたが、それらとは一線を画すお店であること、このお店の厨房で未だ現役の先代オーナーにより手作りされる新鮮なサンドイッチの価値を高めることの出来るお店であることを目指して店舗デザインが進んだ。
 よくパティスリーのケーキショーケースは宝石箱のようだと形容されることがあるが、サンドイッチ屋のそれは宝石箱だと言われることはあまりない。ケーキも、サンドイッチも同じフルーツを使って色彩豊かな見た目であるのに売り方の違いがあることに疑問を感じ、、パティスリーのケーキのようにサンドイッチを扱うお店があってもいいのではないかという発想が生まれた。またサンドイッチ屋は店舗の広さが、さほどいらない業態ではあるが、今回の改装物件は元々地元のコンビニ店として営業していたため、サンドイッチ屋としてはかなり広い。その広さを活かすために、通常、高さ方向に棚を設置して立体陳列するサンドイッチを、6m近いカウンターに水平陳列することで、このお店にしかできないボリューム感でサンドイッチを魅せようと考えた。色々な議論の結果、一般的なサンドイッチ屋とは距離をとった店舗デザインになったが、それらは決して奇をてらったものではなく、一つ一つがオーナーの今後の商売に対する気持ちの表れである。

インテリアデザイン  :柴田真和  中神さとみ(CARAMEL inc.)
ロゴデザイン     :柴田真和  中神さとみ(CARAMEL inc.)
照明設計       :杉浦貴之(コイズミ照明)
施工         :今井辰弥 山田将司(Relation)
竣工写真       :植村崇史(植村崇史写真事務所)